SS「ロウきゅーぶ」紗季さんが昴さんの趣味を確認することになりました その6

SS「ロウきゅーぶ」紗季さんが昴さんの趣味を確認することになりました その5の続き




~紗希の視点~

長谷川さんの入室に驚き、何も考えられなく、気が付いたときには長谷川さんと一緒に布団に入り
頭をナデナデされていました。

先ほどの失態と恥ずかしさでぐしゃぐしゃになっていたけど、時間とともに落ち着き、
ようやく今の状況を把握することができました。

長谷川さんの胸に顔をうずめているような状況のため、長谷川さんの心臓の音まで全部聞こえます。

とくん、とくん・・・

耳を預けていると、どんどん落ち着いてくる。

ずっとこうしていたい。

そう思えるほどに。

こんな風に、トモは毎日、長谷川さんに抱きしめられているのだろうか。
そう思うと、切なくなる。

トモのこと、応援しているのに。

ううん、違う。
今の私は男の子。

長谷川さんも同じ男だから、こうやって気兼ねなく同じ布団に入ってくれるに違いない。

そう、勘違いしてはいけない。


ふぅ・・・
深呼吸して、心を落ち着かせる。

私、、、いいえ、僕は男の子。
演じきらなければいけない。


もし、今の私に劣情を抱くようなことがあれば、長谷川さんは男のことに興味があるということ。
本来の目的である、長谷川さんの趣味の確認。


あれ・・・


もし、長谷川さんが男の子に興味がある方だった場合、どうなるのだろうか。
今は、長谷川さんと同じ布団で寝ていて、長谷川さんに抱きしめられている。
ふと、顔をあげて長谷川さんの顔を見つめていると

目があった長谷川さんは優しげに微笑み、私に顔を近づけてきた。

少しずつ・・・

15cm

10cm

5cm

どんどん

まるで・・・

まるで、これからキスをするかのように。

長谷川さんが男の子に興味があるのなら、手を出しても不思議じゃない。
あの本のように、これから、されてしまうのかもしれない。


興味がないわけじゃない。


でも、、、

嫌。



こうなることをどこか期待していたのに、体が震える。


心が痛い。

なぜだか、すごく切ない。



なぜなんだろう。



私の頭を撫でていた手を、私の顔に近づけ

そっと目じりの涙を拭いた。

しらないうちに、涙を流していた。

涙で視界が歪み、長谷川さんの表情がわからない。


理由はわからなかったけど・・・



ただただ、悲しかった。








~長谷川 昴の視点~

頭を撫でていると、どうやら落ち着いたようだ。

しかし、男の子として接するにしても限界はある。

例え相手が小学生だとしても、同じ布団に入るなど緊張しないわけがない。

どうにかして、この状況を脱しなければ・・・

しかし、ここで執拗に紗希を問い詰めてもだめだろう。

いや・・
紗希だと気付いていながら一緒の布団に入り、こんな体制になったことを悟られてはいけない。

よくよく冷静になってみると、たとえ紗希の体を温めるためとはいけ、これはやりすぎだった。

どうすれば、この状況を脱せられる。

考えろ、長谷川昴!!



紗希は男の子だと言い張っている。
でも、完全に、紗希です。ありがとうございます。

同じ布団で寝ている。
紗希から甘いにおいがします・・・違う!!


だめだ、紗希から漂う女の子の匂いで集中できない。


男の子扱いするといっても、無理だ。


ん?


男の子扱い・・・



紗希は男の子の振りをしている。

だけど、実際は可愛い女の子。
今の状況もかなり緊張しているに違いない。



実際は、女の子なのわけだから、紗希に、自分は女の子だからと
自白させるように仕向ければ良い。



なんだ、気づけば簡単なことじゃないか。



自分から嘘をばらしてしまうように仕向ける。



例えば、こうやって、キスをする振りをする。
ゆっくりと、紗希の唇に近づいていく。



ぽかんとした、紗希の顔。
さすがに予想外だったか。


駄目だよ、紗希。


君の嘘は、これで敗れる。



「ッ!!」


紗希の目から流れる涙。


今の状況に信じられないような、いや、とても悲しそう。

俺は馬鹿だ。


紗希の嘘を暴くために、紗希を気づ付けてどうする!

「ごめん、紗希」

正直に言おう。



男の子と言っていたけど、実は紗希自身だったということに気づいていたと正直に話して、精一杯謝ろう。




紗希自身、泣いている自分に驚いているようだ。
そんな、紗希を抱きしめる。


びくっと、紗希の体が撥ねた。

それはそうだろう。だけど、この手を放すと紗希が逃げ出すかもしれない。
俺の言葉を聞いてもらえないかもしれない。


とにかく、謝らせてほしい。



「紗希が男の子だと言っていたけど、俺は紗希だってこと気づいていた。」

「何か事情があるかなと思って、演技に付き合っていて・・・」

「でも、ずっと紗希だって気づいていて、さっきキスしようとしたのも紗希だと分かっていて・・・「長谷川さん!!」

えっ

すごい剣幕で、謝罪中の俺の言葉をさえぎってきた。

でも、怒っているという風ではない。

ひどく、困惑しているような顔。




「長谷川さんは、私だと気づいていて、キスをしようとしたとおっしゃいました。」

「ああ、俺は、紗希だと気付いているにも関わらずキスをしようとした。」

紗希からの罵倒を覚悟していたが、紗希から発せられた言葉は違った。



「長谷川さんは、、、

 長谷川さんは、私と、、、女の子である、私とキスをしたかったのですか?」


紗希の質問の意図が理解できない。

どういう意味なんだ?


いや、まて


女の子なら誰でも良かったと思われたのか!?

違う、断じて違う。



「紗希だから。紗希だからしようとしたんだ。」



俺の答えに、息をのむ紗希。


そう、紗希の嘘を暴くためにしたこと。
キスをしたいから、しようとしたわけじゃないことは理解してもらわなくてはいけない。




目をつむり、何かを熟考する紗希。



先ほどの緊張した雰囲気から、心なしか落ち着いたようにもみえる。

分かってもらえたか。

胸をなでおろす感じだったが、紗希の言葉は予想の斜め上だった。




「私、なんで悲しかったのかわかったんです。
 男の子としての自分、私じゃない自分が、長谷川さんとキスをする。

 目の前の長谷川さんは、私とキスをするのに、私をみていないことが耐えられなかった。


 だから・・・

 長谷川さんに、紗希だからキスがしたかったと言ってもらえて本当にうれしかったです。

 私を見てくれて、私としてくれる。


 だから・・・


 だから・・・」


そういって、紗希は俺を抱きしめ




そっと唇を重ねた・・・・





続き:SS「ロウきゅーぶ」紗季さんが昴さんの趣味を確認することになりました その7

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