艦これSS 疫病神な提督が着任しました その2

本部に到着。




提督「さて、アポイントはとれてないから、まずそこからだな。

大井「はぁ!?、アポイントすらとってないってどういうことなんですか!!」

北上「これはだめかなー?」

提督「上へはとりあえず、お前ら二人、重雷装巡洋艦について直接報告することにした。」

提督「なんたって、お前らが重雷装巡洋艦になるとわかってなかったらしくで
   上層部は悔しさでいっぱいだろう。」

提督「そんなわけで、戦艦すら沈めてしまうという重雷装巡洋艦について
   せいぜい自慢してくるさ。」

大井「上層部も知らなかったのですか?」

提督「知ってたら私のところにお前ら二人を配属なんてさせないよ。」

提督「重雷装巡洋艦になったことをしったら、配置転換の打診が来たくらいだからな。」

提督「もちろん、つっぱねたけどな。
   おかげでただでさえ戦力増強を渋られているのに、そこからは露骨に配属される艦娘が減ったよ」

北上「ていとくぅ~、そんな感じで戦艦の配属なんて無理なんじゃないの~?」

提督「まー、無理だろうな。」

大井「無理って!!わざわざ本部まで来て無理ってなんですか!?」

提督「まー、十中八九無理だけど、時間稼ぎもなるし、その辺はいろいろ手を回してみるさ。」

提督「今回は、運がよければ、戦艦ないし、重巡をゲットすること。」

大井「でも、無理そうなんでしょ。」

提督「だめだと、そのまま鎮守府に帰還。」

北上「無駄骨だね~」

提督「最悪なケースは……」

大井&北上「ケースは?」

提督「戦艦も重巡も配属されず、お前たち二人も転属させられるってケースだな。」

提督「そうなったら、本当にお手上げだなー」

大井「なに、無責任なこといっているんですか。
   今回のことは私達にメリットなんてないじゃないですか!!」

北上「まーまー、おおいっちも落ち着きなよ。」

大井「落ち着いていられるわけないじゃない。最悪じゃないの。」

北上「そうなったら、そのときよだよ。」

提督「そうだな。」

大井「何を呑気に。少しはさきのことを考えてください。」

提督「さきのことを考えたから、やっているんだけどな。」

大井「そんなの考えたうちにはいりません。」

提督「そのときは、そのときだ。」

提督「……北上、その時は、大井を頼むな。」

北上「だめだよー。」

北上「提督。」

提督「北上、わかっているさ。まったく。
   そう簡単にそんなことさせるわけないだろ。」

提督「さて、これ以上嫌われることもないから気楽なもんさ。」

提督「とはいっても、アポイントの調整がつくまで、しばし待機って感じだ。」

提督「それまで、フロアでのんびりするか」




提督「フロアについたことだし、適当になにか食べるか。
   どうせ嫌がらせも兼ねて1時間以上は会ってはくれないだろうしな。」

北上「いいねー。カツカレーたのんじゃおっかなー。」

大井「私も、北上さんと同じで」

提督「お前ら、間宮さんレベルを期待すんなよ。」


ガシャン!!

提督「なんだなんだ?喧嘩か?」



モブA「もう一度いってみろ!!」

時雨「何度でも言うよ。
   扶桑と山城が悪いんじゃない。アンタたちの指示が悪いんだよ。」

モブA「貴様、艦娘の分際で我らに意見するか。」

モブB「そもそも、あんな欠陥戦艦を解体もせずにいてやるだけでも
   我々に感謝してほしいね。」

モブC「まったくだ。不幸姉妹とかいわれているが、
    欠陥戦艦をあてがわれた俺達が不幸だぜ。」

モブA「さっさと轟沈でもしてくれたほうがマシな戦艦が
   配属されていいかもしれねえよな。」

モブB「そうだな。補給なしで敵戦線にでもつっこませるか。」

モブA,C「それはいいな。今度やってみるか。」

時雨「ふざけるな。僕達を何だと思っているんだ。
   しかも、そんな命令が許されるわけがないだろ。」

モブA「ふざけてんのはお前だろ。
   艦娘がえらそうに俺らに意見してんじゃねーよ。」

モブA「お前も雪風と対をなす存在といわれたのに、
   がらくたみたいな能力じゃねーか。」

モブA「欠陥戦艦だけじゃなくて、名前だけのがらくた駆逐艦まで任されて
    かわいそうすぎるだろ。」

モブA,b,c「げらげら(笑)」

扶桑「時雨、もういいのです。」

山城「そうです。出撃するたびに戦果も挙げられず損傷ばかりしているのは事実です。」

時雨「そんなことない。あんな命令で戦果なんてあげられるわけがない。」

モブA「さっきから命令が悪いだなんだと、なに責任転嫁してんだ。」

モブA「時雨、口を噤め。これは命令だ。」

時雨「ぐっ……そんな命令!!」

モブA「命令違反は、g 提督「ちょっとすみません。」」

モブA「急になんだ。貴官はなんだ。」

提督「戦艦の一隻も配属されない哀れな呉鎮守府司令官さ。」

モブA「その司令官がなんのようだ。」

提督「その辺について、ぜひご相談があります。」

モブA「相談?」

モブB「貴官に相談されるようなこともないと思うが?」

提督「いやいや、それがあるんですよ。」

提督「貴官らは、そこにいる艦娘が不要といっている。
   小官は、戦艦がいなくて必要としている。まさにWin-Winというわけだ。」

モブA「虫のいい話だな。貴官に戦艦を譲渡して我々になんのメリットがある。」

提督「さすがに無償とはいいませんよ。
   うちの鎮守府からだせるものといえば、このくらいの物資となりますね。」

モブA,B,C「こんなに……」

提督「どうですか?」

モブA「魅力的な提案だが、あいにく私の一存では決めかねる。」

提督「なるほど、たしかにそうですね。」

モブA「あ、ああ……」

提督「では、決定権のある人に話を通しにいきましょうか。」

モブA「いや、そんな急にいわれても。」

提督「小官もすぐに鎮守府に戻らないといけない身でしたね。
   さっそく行きましょうか。」

提督「そういうわけで、北上と大井。
   そちらのお嬢さん3人と一緒にまっていてくれ。」

北上「りょーかーい。」

大井「ええっ!?」

時雨「えっ!?」

扶桑「どういうことなのかしら?」

山城「姉様、どうしましょう。」

北上「細かい話はおいておいて、とりあえず、てーとくさんが戻ってくるまで
   カレーでも食べようよ。」

提督「OK、んじゃ、こっちはこっちでやっておく。
   良い子でまってな。」







時雨「僕がいうのもなんだけど、あの人、大丈夫なのかな。」

北上「てーとくなら大丈夫っしょ。
   おおいっちのときみたいにうまくやってくれると思うよ。」

大井「私のときって、なんか変だと思ったら、裏で何かやってたの?」

北上「まー、おおいっちの配属は無理っぽかったからね。
   てーとくが、ちょちょちょーいっとやったみたい。

大井「ちょちょちょーいって、呆れるばかりね。」

北上「そのおかげでこうして、おおいっちと一緒にいられるんだからいーじゃん。」

大井「はぁ~。まったくこの人達は。」

時雨「あはは……、なんだか、だいぶアレな人みたいね。」

時雨「でも、いくらなんでもそう簡単に配置転換なんてできないんじゃない?」

北上「大丈夫っしょ。」

大井「願ってもない戦艦を得るチャンス。あの提督ならどんな手を使っててもやるでしょ。」

時雨「嫌な信頼な気がしないでもないな。」

扶桑「あの……、よろしいでしょうか。」

扶桑「私達を求めていただくのは大変うれしいのですが、
   話からするとかなりの物資とともに配置転換となる様子。」

扶桑「私達にそれほどの期待を求められても……」

山城「姉様……」

北上「なんか、いろいろ悩んでいるっぽいけど
   気にせずついてくればいいと思うよ。」


そして、1時間後。


提督「話はついた。帰るぞ~。」

北上「ほーい。」

大井「……まったく。」

提督「そういうわけで、これが辞令だ。
   ようそこ、呉鎮守府へ。」

提督「扶桑、山城、時雨。君たち3人は今から私の部下というわけだ。」

提督「改めて自己紹介させてもらうが、呉鎮守府司令官だ。」

提督「これからよろしく頼む。」

時雨「僕も?」

提督「ああ、もちろん。
   さっきの啖呵は惚れ惚れしたよ。」

時雨「えっ!?」

提督「私も上層部の作戦が悪いんだよって、直接言ってみたいものだ。」

時雨「ええっ!?、さすがに提督の立場でそれはまずすぎです。」

提督「君の立場よりはマシだろう。」ナデナデ

時雨「なっ!」

提督「扶桑と山城もいい仲間を持ったな。」

扶桑、山城「はい、そうですね。」

扶桑「時雨はいつも私たちのこと庇ってくれていましたが
   今回ばかりはどうなることかと本当に心配しました。」

提督「……なんにせよ、本部に来る目的は果たせたわけだ。」

北上「来るときはまさか本当に戦艦が配属されるとは思ってなかったけど
   ラッキーだねー。」

北上「あと、帰る前にお土産買いたいんだよね~。」

提督「……ふむ」

提督「時雨、扶桑、山城、大変申し訳ないが北上と大井を案内してやってほしい。」

提督「私はその間に帰る準備をしておく。集合時間は19:00だ。」

北上「りょうかーい。じゃあ、みんないくよー。」

おわり




本部でのお話は終了。
次は、戻った呉鎮守府の予定。

艦これSS 疫病神な提督が着任しました その1

ロボット3原則なるものを知っているだろうか。
簡単に言うと以下のようなものだ。

第1法則、人間に危害を加えてはいけない
第2法則、人間の命令には従わなければならない
第3法則、第1第2に反するおそれがない限り自己を守らなければならない

深海生物に対するための決戦兵器といえる艦娘だが、国の首脳陣を初め
それら艦娘の反乱を憂慮している。

そのため、艦娘にもある制約が課せれるようになった。
内容は、さきほどのロボット3原則とほぼ同じである。

艦娘は主人が設定され、主人の命令は絶対服従となっている。
そのため、第2法則として、主人の命令は絶対服従となる。

制約といっても、マインドコントロールされているわけではないため
無理な命令をする上官に対して、制約を守らずに上官を手にかける艦娘が
多数現れた。

この状況を恐れた軍上層部は、制約を逸脱する行為を及ぼす艦娘に対して
即座に制裁を与えることができるように艦娘に処理を施すことにした。
また、主人への反逆行為を防止するために、主人の生命活動が停止した場合は、
艦娘の艤装を強制解体されるようにした。

これは、艦娘を多数従えるものが反乱を起こした際に対応するためとも
言われている。

艤装を強制解体された艦娘の多くは命を落としたが、それでも、
艦娘が主人を手に掛ける事例が後をたたなかった。


そんな状況下、とある士官に白羽の矢がたった。

戦果はあげるものの、上官が戦死するケースや、味方が壊滅する中での
戦果ということで味方殺しとも呼ばれ、忌み嫌われており
上層部へも反発していることから、昇進させてもなるべく前線送りにしたい。

しかし、高確率でこの士官を部下にした上官が戦死するというジンクスで
配置を嫌がる上官も多く、軍上層部も手を焼いていた。

そこで考えたのが、艦娘をこの士官に配属させることである。
この士官を前線に送ることができ、
この士官を経由して艦娘に命令を出すことができ、
艦娘の恨みはすべてこの士官に向けられる。

ただし、貴重な艦娘をこの士官に渡すのは否定的意見が多数であったため
各方面から放出しても問題のない艦娘をこの士官のもとへ配属させることとに
なった。

以上の経緯により、この士官は、大佐に昇進したタイミングで新設された艦娘専用の
呉鎮守府に提督として着任することとなった。




提督「やれやれ、また、戦力増強の話は差戻しになったよ。」

大井「あいかわらず軍上層部に嫌われてますね。」

夕立「戦力補強はだめっぽい?」

北上「こういうこともあるよね。というか、いつもだね。」

提督「おいおい、他人事みたいなこといっているが
   このままだと、今の戦力で2-4海域に出撃になるんだぞ。」

提督「戦艦2隻、いや戦艦1隻と重巡洋艦1隻でも良いいから
   配属されないと2-4海域の攻略は無謀だ。」

提督「やれやれ、気は進まないが本部へ赴いて直訴するか」

北上「おっ、本部へ行くなら私も付いていくよ。おいしいラーメン屋さんみつけてたんだよね。

大井「北上さんがいくなら、私も付いて行きます。
   北上さんとふたりっきりで、観光でもしましょうか。」

提督「いや、連れて行かないし、観光とかいかせないし。」

北上「そうだよ。おおいっちはお留守番ね。私と提督の二人でいくからね。」

提督「いや、お前も連れていかないよ。」

北上「いやいや、ていとくぅ~。ひとりでおいしいものひとりじめはいけませんなー。」

提督「独り占めする気ないし、おいしいことなんて何にもない。」


北上(ジーーーー)
北上「提督が嫌だといっても、私は付いていくよ。おおいっちは留守番ね。」

大井「北上さんと、くz、、提督を二人っきりなんて危なすぎです。私も付いて行きます!!」

喧々諤々

結局、北上と大井を連れて行くことに。

提督「わかった。二人とも連れて行くから準備しろ。」

提督「北上はちゃんと大井の面倒みろよ。私はしらないからな」

北上「わかったよー。おおいっちのことは任せて。」

大井「提督に心配される必要はありません。」

提督「はいはい、そうですか。」

北上「提督、大井なら大丈夫だよ。」

提督「……そうか。」

提督「んじゃ、みんな私が本日に言っている間は書いてあるスケジュールにしたがって遠征などを進めてくれ」

提督「不測の事態があった場合は、緊急コールすること。」

留守番組「了解です(っぽい)」

提督「綾波、私の代理でよろしく頼む。」

綾波「はい、わかりました。」

大井「普段から提督いなくても綾波が手配しているから問題ないし、
   そもそも提督いる意味ないのよね。」

提督「私がいなくても運営が滞らないようにちゃんと手配してあると言ってほしいな。」

北上「実際、綾波が代理で決裁していることもあるよね。あれいいのかなーと思ってた。」

大井「そうよね。バレて叱責されればいいのに。」

提督「お前ら、言いたい放題だけど、綾波には一部権限を委譲しているから問題はないぞ。」

北上・大井「嘘!!」

綾波「本部からから承認されてます。」

提督「大体、私しかできないことってのはほとんどないんだから
   できる人に委譲するのは当たり前だろ。」

提督「委譲された人間も、それによって成長できるし、いいこと尽くめ。」

北上「とかいいつつ、自分が楽したいだけー」

提督「うるさいな、楽して何が悪い。」

北上「開き直ったー。」

大井「そんなんだからすぐ私達に仕事を押し付けるんですよね。」

提督「いや、私達って、秘書官の北上に降った仕事を
   北上がしないから、大井がかわりにやっているだけじゃないか。」

北上「私とおおいっちは一心同体。おおいっちが仕事をするのは私がしたと同じなんだよ。フンスッ」

大井「はい、私と北上さんは一心同体です!!」

提督「大井が幸せなら私は何も言わないよ。」

提督「話が脱線したが、綾波の手伝いを初雪頼むぞ。」

初雪「えー、めんどくさい。やだー。」

提督「手伝うときは私の部屋のこたつの使用を許可する。」

初雪「こたつ……。」

提督「みかんもつけよう。」

初雪「がんばる……。」

提督「金平糖も買ってくるからよろしく頼む」ナデナデ

初雪「待ってる。」



大井(ジトー)

北上「あんまり甘やかせちゃだめじゃないかなー」

夕立「私も金平糖ほしいっぽい。」

夕立「提督さん、遠征がんばってきたら、金平糖頂戴。」

提督「もちろん、お土産も買ってくるよ。
   その前に、戦艦を配属されるようにがんばらないとな。」

提督(さて、気分がのらないが、本部へ行くか。
   大井が暴れなければ良いが。いつも以上に気が重くなるな。」



次回、本部へ続くよ。

【艦これSS】北上さん 暗い話

北上といえば
 ・駆逐艦うざいとかいって毛嫌いしている
 ・いつも適当で悩みがなさそう
 ・横からMVPを掻っ攫っていく
 ・あれで秘書艦が務まっているとは思えない

どうにも評判がよろしくない。
そんな北上さんのひとこま。




深夜、人の寝静まった鎮守府。
北上は、ひとり海を見ていた。

まっくらな海。
みていると何か得体の痴れないものが潜んでいそうな感覚。

自分を慕い、自分のもと、回天を装備した散って逝った駆逐艦達。
今でもあの艦たちの顔が頭を離れない。

笑顔で慕ってきた艦が徐々に笑顔がなくなり逝ってしまう。
もう二度と味わいたくない。


柄にもなく提督にあの装備はしないようにお願いしたこともある。
本当に、柄じゃない。


じゃり……

そして、こんな時間、こんな場所に来るものがいる。


「雪風、子供がこんな時間に一人で出かけていると怒られるよ」
なんて軽口をたたいてみる。


双眼鏡を目にしても歩きにくいだけだろうに。
まったく。

そのまま、私の前に雪風を座らせる。


「子供の一人歩きは危ないので保護しました!!」
なんてね。



「雪風、無理に我慢する必要もないんだよ。」
優しく頭をなでてみる。
鎮守府では、明るく、前向きな雪風。

しばしば夜にこうやって出会う。


たぶん、この艦は、自分なんかよりもっと地獄を見てきたのだろう。
その明るさはどこか危うい。


地獄の戦地でどんな思いをしてきたのだろうか。
この艦に比べれば自分なんて、たいしたことはないのだろう。

自分はみないようにするだけ。
この艦はいまでも目を背けず見続けようとしている。
とても強い艦。

自分なんかよりすごく強い。


強いこの艦も自分と同様に昔を思っているのだと思ってどこか安堵する自分。
本当に弱い。


また大井が逝ってしまったら。
また、駆逐艦をひきいて、みんないなくなるのではないかと思ってしまう。


「なあ、雪風。今度は誰もかけることなく終わるといいな。」
雪風はこくりと頷き、
「今度こそ、みんなをお守りします。」
そんなことを言う。
本当に強いよ。










昔を思い出させる駆逐艦が嫌い。
駆逐艦を直視できない弱い自分が嫌い。
弱い自分を自覚させる駆逐艦が嫌い。

駆逐艦達は自分を慕ってくる。
本当に……


本当に。自分が許せなくなる。




誰一人欠けることなく、この戦いを終わらせたい。
そんな無茶なお願いを真面目に達成しようとする提督。


臆病者とか散々いわれていても、何も言わずにみんなが沈まないようにする提督。
北上は提督の秘書艦で本当によかったです。




以上。
オチなくおわり。

SS「ロウきゅーぶ」紗季さんが昴さんの趣味を確認することになりました その7

SS「ロウきゅーぶ」紗季さんが昴さんの趣味を確認することになりました その6の続き





そんな紗希が大人の階段を上りかねない状況のとき智花は長谷川家の玄関に
到着した。

「約束していないのに、思わず昴さんのご自宅へ来てしまいました。」

なぜか、どうしてもこなくてはいけない気がして、色々と悩んでいるうちに
足が勝手に長谷川家に向かっていた智花さんでした。


しばらく、悩んでいた智花も勇気をだして呼び鈴を鳴らすのだった。

そう、昴と沙希が見詰め合っているこのときに。


ぴんぽ~ん



玄関の呼び鈴が鳴ったがかすかに聞こえたが昴は無視することにした。
いまは沙希と一緒の時間を邪魔されたくない。

沙希が口を話し、出なくてもいいのかと聞いてきたが
どうせ訪問販売かなにかだろうから、気にしなくていいよ。


「そんなことより、今は沙希とこうやっていたいんだ。:
そういいながら、もう一度、昴と沙希は口付けをした。


長谷川さんにキスしてもらえている。
その嬉しさとキスの気持ちよさで頭の中が真っ白になっていく中、沙希は
本の中では舌を絡めあっていたのを思い出した。


口付けをしながら無我夢中で舌を出してみる。
舌先にあたるのは長谷川さんの唇。
たしか、舌をいれるはず。

ほんの知識をもとに、硬く閉ざされた昴の唇をこじ開けるように、
舌を突き出してみた。


にゅるっ


入った。
長谷川さんのなか、すごく暖かい。
もっと、もっと長谷川さんを感じたい。

もはや本能のように沙希は舌つきだし、昴をもとめた。




一方、昴は突然のことに驚き、それとともに沙希から突き出された
小さな舌に本能的に舌を絡ませた。

キスがこんなに気持ちいいなんてしらなかった。
沙希から熱い吐息がもれるようになり、その吐息を感じているうちに自然と
キスをやめ、徐々に舌のほうに、首筋から頚骨に舌を這わせるようになった。

沙希も昴の首の後ろに腕を回し積極的に受け入れるようになっていた。

こんなに一生懸命になって長谷川さんが私を求めている。
自分が昴に求められているとともに、昴の舌が自分の体を舐めるたびに
なんともいえない感覚が沙希を包み、さらに昴を求めるようになっていた。




一方、そのころの智花は。

ぴんぽーん
ぴんぽーん

何回か呼び鈴を鳴らしてみたが応答がない。

不在なのかなと思いつつ玄関のノブに手をかけると、鍵がかかっておらず
すんなりのドアが開いた。

「ふぇっ・・・」

ど、どうしよう。
勝手に入ったらいけないですよね。


でもでも、鍵を閉め忘れたのなら泥棒さんに狙われないように私がお留守番する必要があるかもしれない。

ううん。

私が昴さんの家をまもります。


なにより、さきほどから嫌な予感がどんどんふくらんでいた。
もしかして、昴さんによくないことが!?


鍵が開いていたということは昴さんがいらっしゃっるのでは。
なのに呼び鈴を鳴らしてもでないということは・・・


まさか、急に体調が悪くなり倒れられているのでは!?

「ふぇぇっ・・・」
涙目になりながらも、倒れているかもしれない昴を助けるため
家の中にいるはずの昴を探す。


すでに勝手に家に入るのが失礼だとかどうとかは頭から消え去っていた。

まず、智花が飛び込んだのは洗面所だった。

「残念ながら昴さんはいませんでした。」

しかし、洗面所の結露具合や昴さんの残り香等から昴が使用してからあまり時間が経っていないことがわかった。


昴が脱いだと思われる衣服を見つけ
練習後に脱いだ衣服と思われかなり汗ばんだ状態ででもあり
手に取ってみる。


くんくん・・・

昴さんのにおい。

「すばるふぁん・・・」


はっ!!

いけない、こんなことをしている場合ではなかったです。

状況から察するに、シャワーをでてそんなに時間が経っていないようです。
ということは、部屋に戻ってそんなに時間はたっていないはず。

まだ、着替えを終えていないかもしれません。

いえ、違います。

もしかしたら、部屋に戻ったところで体調を崩されているのかもしれません。

だからすぐに、昴さんの部屋に行かないと!!

待っててください。昴さん!!



アタッカーの真骨頂といわんばかりの猛ダッシュで昴の部屋に駆け上がる。


急いでいてもノックは忘れないのが智花である。

コンコン。

「昴さん、入りますね」

普段の智花であれば昴の返事を待っていたが、昴が倒れているかもしれない
という大義名分もとい、心配のあまり配慮に欠けていたため、返事をまたずに
ドアを開けることとなった。

視線の先では、ベットの上で昴と沙希がお互いを抱きしめあっていた。


「な、、、と、、、智花、どうして!?」
智花が入ってきたことに慌てて振り向く昴。

沙希も状況に気づき、
「トモ、今日はこない日じゃ!?」

そして昴と沙希は自分たちが抱きしめあっていることに気づいて
慌てて距離をとり、智花に状況を説明しようとする。


「昴さん?沙希?どうして・・・?」

<つづく>





ここから、どういった展開にしようかなと思案中だったりします。

思いつく展開がろくでもなさすぎる。
うーんうーん。思いつく選択肢。
1.智花「私も一緒に!」
2.智花「プロレスごっこですか?うちの両親も時々やっているみたいで」
3.沙希「大丈夫、さきっちょだけだから」
4.智花「素肌の上に昴さんのTシャツ・・・ハァハァ」
5.智花「昴さんどいて、そいつ[ピー]せない」

SS「ロウきゅーぶ」紗季さんが昴さんの趣味を確認することになりました その6

SS「ロウきゅーぶ」紗季さんが昴さんの趣味を確認することになりました その5の続き




~紗希の視点~

長谷川さんの入室に驚き、何も考えられなく、気が付いたときには長谷川さんと一緒に布団に入り
頭をナデナデされていました。

先ほどの失態と恥ずかしさでぐしゃぐしゃになっていたけど、時間とともに落ち着き、
ようやく今の状況を把握することができました。

長谷川さんの胸に顔をうずめているような状況のため、長谷川さんの心臓の音まで全部聞こえます。

とくん、とくん・・・

耳を預けていると、どんどん落ち着いてくる。

ずっとこうしていたい。

そう思えるほどに。

こんな風に、トモは毎日、長谷川さんに抱きしめられているのだろうか。
そう思うと、切なくなる。

トモのこと、応援しているのに。

ううん、違う。
今の私は男の子。

長谷川さんも同じ男だから、こうやって気兼ねなく同じ布団に入ってくれるに違いない。

そう、勘違いしてはいけない。


ふぅ・・・
深呼吸して、心を落ち着かせる。

私、、、いいえ、僕は男の子。
演じきらなければいけない。


もし、今の私に劣情を抱くようなことがあれば、長谷川さんは男のことに興味があるということ。
本来の目的である、長谷川さんの趣味の確認。


あれ・・・


もし、長谷川さんが男の子に興味がある方だった場合、どうなるのだろうか。
今は、長谷川さんと同じ布団で寝ていて、長谷川さんに抱きしめられている。
ふと、顔をあげて長谷川さんの顔を見つめていると

目があった長谷川さんは優しげに微笑み、私に顔を近づけてきた。

少しずつ・・・

15cm

10cm

5cm

どんどん

まるで・・・

まるで、これからキスをするかのように。

長谷川さんが男の子に興味があるのなら、手を出しても不思議じゃない。
あの本のように、これから、されてしまうのかもしれない。


興味がないわけじゃない。


でも、、、

嫌。



こうなることをどこか期待していたのに、体が震える。


心が痛い。

なぜだか、すごく切ない。



なぜなんだろう。



私の頭を撫でていた手を、私の顔に近づけ

そっと目じりの涙を拭いた。

しらないうちに、涙を流していた。

涙で視界が歪み、長谷川さんの表情がわからない。


理由はわからなかったけど・・・



ただただ、悲しかった。








~長谷川 昴の視点~

頭を撫でていると、どうやら落ち着いたようだ。

しかし、男の子として接するにしても限界はある。

例え相手が小学生だとしても、同じ布団に入るなど緊張しないわけがない。

どうにかして、この状況を脱しなければ・・・

しかし、ここで執拗に紗希を問い詰めてもだめだろう。

いや・・
紗希だと気付いていながら一緒の布団に入り、こんな体制になったことを悟られてはいけない。

よくよく冷静になってみると、たとえ紗希の体を温めるためとはいけ、これはやりすぎだった。

どうすれば、この状況を脱せられる。

考えろ、長谷川昴!!



紗希は男の子だと言い張っている。
でも、完全に、紗希です。ありがとうございます。

同じ布団で寝ている。
紗希から甘いにおいがします・・・違う!!


だめだ、紗希から漂う女の子の匂いで集中できない。


男の子扱いするといっても、無理だ。


ん?


男の子扱い・・・



紗希は男の子の振りをしている。

だけど、実際は可愛い女の子。
今の状況もかなり緊張しているに違いない。



実際は、女の子なのわけだから、紗希に、自分は女の子だからと
自白させるように仕向ければ良い。



なんだ、気づけば簡単なことじゃないか。



自分から嘘をばらしてしまうように仕向ける。



例えば、こうやって、キスをする振りをする。
ゆっくりと、紗希の唇に近づいていく。



ぽかんとした、紗希の顔。
さすがに予想外だったか。


駄目だよ、紗希。


君の嘘は、これで敗れる。



「ッ!!」


紗希の目から流れる涙。


今の状況に信じられないような、いや、とても悲しそう。

俺は馬鹿だ。


紗希の嘘を暴くために、紗希を気づ付けてどうする!

「ごめん、紗希」

正直に言おう。



男の子と言っていたけど、実は紗希自身だったということに気づいていたと正直に話して、精一杯謝ろう。




紗希自身、泣いている自分に驚いているようだ。
そんな、紗希を抱きしめる。


びくっと、紗希の体が撥ねた。

それはそうだろう。だけど、この手を放すと紗希が逃げ出すかもしれない。
俺の言葉を聞いてもらえないかもしれない。


とにかく、謝らせてほしい。



「紗希が男の子だと言っていたけど、俺は紗希だってこと気づいていた。」

「何か事情があるかなと思って、演技に付き合っていて・・・」

「でも、ずっと紗希だって気づいていて、さっきキスしようとしたのも紗希だと分かっていて・・・「長谷川さん!!」

えっ

すごい剣幕で、謝罪中の俺の言葉をさえぎってきた。

でも、怒っているという風ではない。

ひどく、困惑しているような顔。




「長谷川さんは、私だと気づいていて、キスをしようとしたとおっしゃいました。」

「ああ、俺は、紗希だと気付いているにも関わらずキスをしようとした。」

紗希からの罵倒を覚悟していたが、紗希から発せられた言葉は違った。



「長谷川さんは、、、

 長谷川さんは、私と、、、女の子である、私とキスをしたかったのですか?」


紗希の質問の意図が理解できない。

どういう意味なんだ?


いや、まて


女の子なら誰でも良かったと思われたのか!?

違う、断じて違う。



「紗希だから。紗希だからしようとしたんだ。」



俺の答えに、息をのむ紗希。


そう、紗希の嘘を暴くためにしたこと。
キスをしたいから、しようとしたわけじゃないことは理解してもらわなくてはいけない。




目をつむり、何かを熟考する紗希。



先ほどの緊張した雰囲気から、心なしか落ち着いたようにもみえる。

分かってもらえたか。

胸をなでおろす感じだったが、紗希の言葉は予想の斜め上だった。




「私、なんで悲しかったのかわかったんです。
 男の子としての自分、私じゃない自分が、長谷川さんとキスをする。

 目の前の長谷川さんは、私とキスをするのに、私をみていないことが耐えられなかった。


 だから・・・

 長谷川さんに、紗希だからキスがしたかったと言ってもらえて本当にうれしかったです。

 私を見てくれて、私としてくれる。


 だから・・・


 だから・・・」


そういって、紗希は俺を抱きしめ




そっと唇を重ねた・・・・





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